施工上の留意点

施工上の留意点

窯業建材は、防火性能や耐候性能で、他の建材とは比較にならないほどの高性能を有しています。しかしその原料であるセメントや石膏、その他の材料の諸性質により、収縮や膨張、あるいは留め金具の保持力等で物理的にやむをえない弱点があることも事実です。その点を十分ご理解の上、上記建材をご利用ください。施工後のトラブル防止のためにも、適切な使用箇所に適切な材料を適切な施工法でご使用くださいますようお願いいたします。

各品種に共通の
品質上の留意点

外観
製造の都合上、完全に平滑には仕上がりません。特にフレキシブル板以外はプレス加工をしておりませんので多少の凹凸があります。原色については製造日、製造ロットによって若干差異がありますので、原色のまま外壁等に大量に使用する場合は、あらかじめ発注時にご相談ください。
厚さ
製造の都合上、厚さを完全に均一にすることはできませんので、JIS許容範囲内で均一化しています。従って、つきつけ施工の場合はどうしても若干のふぞろいが生じる場合があります。
直角度
直角度の許容差は、直角定規法で4mm以下、対角法で5mm以下と規定しています。三尺角以下のたとえば一尺角などの場合は施工枚数が多いため、許容差が累積され、結果的に誤差が大きくなり仕上がりに影響が出ますのでご注意ください。
収縮と膨張
すべての物質は温度、湿度、含水、吸水等により日々膨張収縮を繰りかえしています。スレートも例外ではなく、建材のなかでは寸法変化が発生しやすい製品です。
別表寸法変化率を参考に、使用部位や施工法については十分に収縮や膨張を配慮してご使用ください。特に突付け施工は、施工時に正確に突付けとなっていても時間の経過により、収縮によるひらきや下地の変化によるふぞろいなどが生じやすいので十分ご留意ください。
ボードの長さ及び幅の許容差はすべて+0、-3mmです。
又、セラフレキを外壁に使用する際、特に寒冷地の場合は板内部の水分が凍結し、気温により水分が融解した際に形状が保てなくなる場合があります。
高温雰囲気対策
  1. 窯業系建材が高温にさらされると、ボード中の水分が脱水し始め、乾燥収縮を起こします。
  2. 常時60℃以上の高温にさらされる場所(加熱炉・ボイラー室・乾燥炉等)に接する壁面、天井に、窯業系建材は使用できません。
  3. 常時ではなくても高温になる可能性のある場所には、遮熱・断熱・換気等で窯業系建材面が直接高温にさらされない処置をしてください。

各品種に共通の
施工上の留意点

留め金具の位置
窯業建材は合板などの木質材と異なり、部分的に力がかかると脆弱であるという性質があります。従って極端な板端にビスやクギなどを打つとその時点で欠けたり、割れたり、ヒビが入ることがあります。また施工時点では問題が発生しなくても、日がたつにつれ板の膨張収縮によって問題が生じることもあります。ビスやクギ等は必ず板厚の3倍端から内側に取り付けてください。
又、セラフレキは留め付け金具より0.5〜1mm程度大きな孔をあけてください。
留め金具の種類、
特にワンタッチタッピングビス
軽天井下地にボードをワンタッチタッピングで留める工法が普及してきました。この工法は前項でも述べたとおり部分的には脆弱な性質をもつ不燃ボードにとって、最も注意を要する工法です。施工品質低下の大半を占める収縮による板の割れや角飛びのほとんどはこの工法の際に発生していることが多いので、タッピングスクリューワンタッチ方式の工法は避けてください。特にボードの端と角の部分は必ずあらかじめドリルで穴をあけてから留めてください。
またビスで留める際には締めすぎないように注意してください。
タッピングなどで締めすぎるとボードからつき抜けてしまったり、その時点では問題がなくても後日振動や膨張、収縮によって問題発生の原因となります。ワンタッチビスをご使用の場合はくれぐれもボードの内部にとどめ、ボードの端と角はワンタッチ工法は差し控えてください。
又、セラフレキは、ナベ頭のビスを使用してください。
突付け工法
ボード類には、各品種の規格に示すように、吸水・乾燥による寸法伸縮があります。従って、施工後の温湿度(特に湿度)の変化によって伸縮現象が発生します。現状の製品は、それぞれの製品の平衝含水率よりは高めの含水率で出荷されていますが、保管時或いは施工後には平衝含水率(製品によって、また湿度によって範囲がありますが、10%以下)に落ち着きます。製品の含水率による伸縮に関しては、10%以上の含水率では比較的小さく、それ以下で大きめとなる特性があります。従って、特にエアコンのある部屋のエアの吹き出し口や吸い込み口に近い部分や、エアが直接あたる部分は、ボードの含水率が急激に下がり収縮度が大きく、突付け部分に大きな隙間を生じることがありますので注意が必要です。
又、セラフレキは突付け目地は避けてください。
下地のひずみが一点に
集中される場合
せまい部屋の場合に発生することはまれですが、大部屋の場合には、天井のある部分にクラックが集中して入ることがあります。この時ボードの寸法を計測するとほとんど収縮が見られません。これはボード自体の品質に問題があるのではなく、天井下地にボードをとりつけたために重量による下地のひずみが発生して起こる現象です。またボードがわずかずつ収縮・膨張することによって下地への引張りがある一点に集中され、下地のひずみがボードにかかることがあります。この時、留め金具の位置や締め具合等が適切でないと、ボードがその力に耐えられずクラック発生となります。こうした問題の解決のためには、適切な施工が肝心です。特にワンタッチビスの使用は避け、あらかじめ穴あけしてから施工してください。
天井に使用する場合の
下地間隔と留め金具の本数
ボードを天井に使う場合、製品の重量はすべてビスやクギにかかってきます。従って下地間隔が広すぎたり、留め金具の本数が少ないと、施工直後には問題がなくても、時間の経過とともに少しずつ重量がかかり、取り付け部分にキレツが生じたりボードがたれ下がったりします。下地間隔は30~35cmごとに1本とし、ビスも30~35cm間隔に必要本数をとめてください。
また、天井施工の場合は、ボードの繊維方向と下地の向きを直交させてください。